移住者の声interview

1
与謝野 祥子さん Iターン
田舎で子どもを育てたい。
やっとたどり着いた、理想の故郷。

東京のIT企業で20年以上にわたりキャリアを築く中、出産を機に、もともとあった「田舎に住みたい」との思いがますます強くなり、フリーのウェブディレクターとして働きつつ、2018年に母子で美作市の隣の和気(わけ)町へ移住。
その後、以前から縁のあった美作市の上山(うえやま)地区に2022年に移住し、現在はウェブの仕事と、パン教室のオンライン講師をしながら、地元上山の魅力を伝えるYouTubeチャンネル「アロハめし子」を運営。
また、「英田上山棚田団」の活動にも積極的に参加し、ウェブディレクターとしての経験を生かし、WEBやSNSを活用して、居住している上山地区の魅力を伝えるなど、幅広く活躍中。

移住の経緯を教えてください。

もともと田舎に住むことに憧れを持っていましたが、娘を出産したのを機に「田舎で子どもを育てたい」との思いがますます強くなり、都市部で開催される移住フェアに行くなど、全国の中から移住先を探していました。
当時2歳の娘と二人だけでの移住を考えていたため、「母子なのですが」と相談したら、「お子さんそんな小さくて、母子は難しいんじゃないですか」と言われることがほとんどでした。
半ば諦めていた時、たまたま乗っていた山手線の中吊り広告に和気町が移住の広告を出していて、気になって問い合わせました。すると担当の方が、東京からの移住者が多く、母子家庭の方もいらっしゃると教えてくれて、3回ほどの下見を経て和気町にアパートを借りて移住しました。
移住して3年が経って岡山での暮らしにも慣れたころ、東京にいた時に参加したイベントで知り合った「英田上山棚田団」の方と偶然会い、上山が和気の隣ということで遊びにいかせていただくようになりました。
何度か足を運ぶ中で上山で暮らしたいと思うようになり、「家を探してもらえないか」と相談をしたところ、ご縁があって家が見つかり、2022年に上山に移住しました。

美作市を移住先に選んだ決め手は。

ここは自分にとって理想の田舎で、自然環境はもちろん、そこに関わっている「人」が一番の決め手でした。
都会に住んでいた人が田舎に移住する場合、地元の人だけのコミュニティだと、なかなか難しいこともあると思いますが、その点上山は先輩移住者が地元の方としっかりと信頼関係を築いてこられていて、地域にも馴染んでいるということもあったので、安心して移住できると感じました。
東京はいわゆる核家族という感じで、地域の繋がりがあまりない中でとても孤独だったのもあり、ここではみんなで子供を大事にしてる点など、人との繋がりがとても感じられました。
上山には、娘と同世代の子を育てている移住者がいることもとても後押しになりました。

みまさか暮らしはいかがですか。

上山の人口は約140人、そのうち移住者が42人いて、規模的に大きくはないですが、こじんまりしつつも距離感も程良いと感じています。子育てにおいても、ここでは昔のように、「子供を地域みんなで育てる」といった雰囲気があり、子供も大人も関係なく家族のように接してくれるので、とても心強く感じています。
あとは、お米を自分で作り、美味しくいただけていることがありがたいです。
私も活動に参加させていただいている「英⽥上⼭棚⽥団」では、かつて8,300枚あった棚⽥の再⽣をはじめ、環境保全や地元資源を⽣かした地域の活性化に取り組んでいますが、今いるメンバーだけでは棚田の再生も止まってしまうので、「稲株主」という制度を通じて、地域外の方にも活動を応援いただくと共に、棚田での農業や里山での暮らしを体験していただける取り組みも行っています。

上山の暮らしの魅力を伝えるために始めた「アロハめし子」というYouTubeチャンネルを運営していますが、今年から「英⽥上⼭棚⽥団」の広報を担当させていただくことになったので、上山の魅力や活動をより多くの方に伝えていきたいと思っています。

移住して良かった点と課題

インターネットがあるのでそこまで不便は感じませんが、都市部とのギャップでいうと、移住した当時は、この辺はトイレが汲み取り式ということが衝撃でした。
あとは、自然に近くなるということは虫や獣も当然いますし、暑さはそれほどでもないですが、古民家だと特に寒さを感じるので、その分燃料のコストは上がります。ただ、以前住んでいた所と比べて電気とガス代はすごく安くなったので助かりました。
また、山間部で生活する上では、食料や灯油の買い出しなど、車が欠かせません。
今小学生の子供はバス通学をしていて、集合場所までは山あいなので道も急で歩道もないですし、冬は凍結などもあるので車での送迎は毎朝少し苦労しています。

移住を考えている人へメッセージ

都会で、与えられた仕事をきちんとこなすということに慣れすぎていると、こちらに来ると、「あなたの仕事はこれです」と直接指示されることは少ないため、自ら積極的にやりたいことを見つけ、追求する姿勢が大切だと思います。
また、移住して自分のしたいことに挑戦していく中で、一人で行動するのではなく、地域の人々と協力してお互いが良いポイントを見つけるということが重要だと思います。